公団社団法人リース事業協会

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リース税制の概要

適用時期

現在のリース税制は、2008年4月1日以後に締結される契約に係るリース取引について適用されています。

リース取引の定義

リース取引とは、資産の賃貸借(所有権が移転しない土地の賃貸借その他の政令で定めるものを除く。)で、次に掲げる要件に該当するものをいいます。

  1. 賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること、またはこれに準ずるものであること。
  2. 賃借人が、賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること。

リース取引の分類

上記の2つの要件は、リース会計基準に規定するファイナンス・リース取引の定義と同じです。したがって、税務上のリース取引は、会計上のファイナンス・リース取引に該当し、リース取引以外の賃貸借取引は、会計上のオペレーティング・リース取引に該当することとなります。  
所有権が移転しない土地の賃貸借取引は、リース取引の範囲から除外されていますが、譲渡条件付または割安購入選択権付の土地の賃貸借取引は、リース取引(所有権移転リース取引)に含まれます。  
リース取引は、「所有権移転外リース取引」(会計上の所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当)と「所有権移転リース取引」(会計上の所有権移転ファイナンス・リース取引に該当)に分類され、次のいずれかに該当するリース取引は所有権移転リース取引となります。

  1. 譲渡条件付リース取引
    リース期間終了時またはリース期間中途において、リース資産が無償または名目的な対価の額で賃借人に譲渡されるものであること。
  2. 割安購入選択権付リース取引
    賃借人に対し、リース期間終了時またはリース期間中途において、リース資産を著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているものであること。
  3. 専属使用資産のリース取引または識別困難な資産のリース取引
    リース資産の種類、用途、設置の状況等に照らし、当該リース資産が、その使用可能期間中、賃借人によってのみ使用されると見込まれるものであること、または、リース資産の識別が困難であると認められるものであること。
  4. リース期間が耐用年数に比して相当短いリース取引
    リース期間がリース資産の(法定)耐用年数に比して相当短いもの(借手の法人税の負担を著しく軽減することになると認められるものに限る。)であること。 リース会計基準には(d)の規定はありませんが、リース期間が耐用年数に比して相当短い期間(耐用年数の70%(耐用年数10年以上の場合は60%)を下回る期間)のリース取引は、税務上、所有権移転リース取引に該当することとなります。

リース取引の判定

解約不能リース期間中に賃借人が支払うリース料の金額の合計額が、リース資産の取得価額(リース資産の取得に要する資金の利子、固定資産税、保険料等、付随費用を含む)の概ね90%を超える場合、その賃貸借取引は、「資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされている場合」(すなわちリース取引)に該当します。

リース取引の基本となる税務処理

リース取引を行った場合、リース資産の賃貸人から賃借人への引渡しの時に、当該リース資産の売買があったものとして、賃貸人または賃借人は、各事業年度の所得金額を計算します。

リース資産の減価償却

賃借人は、所有権移転外リース取引のリース資産について、「リース期間定額法」(以下の計算による金額を各事業年度の償却限度額として償却する方法)により減価償却を行います。償却費として損金経理をした金額は、償却額の計算に関する明細書を確定申告書に添付する必要があります。

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※ 税務上、リース資産の取得価額は、原則として「リース料総額」ですが、会計基準に従い、リース料総額から利息相当額を区分する場合には、リース料総額から利息相当額を控除した金額を取得価額とすることができます。リース資産の取得価額に賃借人の残価保証額が含まれている場合は、当該残価保証額を控除して償却限度額を計算します。

所有権移転リース取引のリース資産については、「リース期間定額法」の適用が認められず、自己所有の資産に適用する減価償却方法と同一の方法により、法定耐用年数にわたり減価償却を行います。

リース取引の基本となる税務処理

リース取引を行った場合、リース資産の賃貸人から賃借人への引渡しの時に、当該リース資産の売買があったものとして、賃貸人または賃借人は、各事業年度の所得金額を計算します。

支払リース料の処理

賃借人は、リース会計基準に従って、支払リース料のうち利息相当額部分を支払利息として費用処理し、税務上、その金額を損金として処理することができます。利息相当額を利息法または定額法いずれの方法により配分した場合でも、各事業年度において費用処理した支払利息全額を損金として処理することができます。
賃借人は、会計上、リース料総額から利息相当額を控除しない方法を採用することができますが、この方法を採用して会計処理した場合、毎月定額のリース料が定められているような通常のリース取引においては、支払リース料の額が減価償却費となります。
また、リース会計基準に従って、リース料総額から維持管理費用相当額または役務提供相当額を区分し、これらを各事業年度において費用として処理した場合、その金額は、税務上、損金として処理することができます。

賃貸借処理した場合の税務上の取り扱い

所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース会計基準において、賃貸借処理できる場合があります。また、中小企業は、リース会計基準を適用しないで、「中小企業の会計に関する指針」または「中小企業の会計に関する基本要領」を適用して、リースを賃貸借処理することができます。賃借人が、リースについて賃貸借処理した場合、税務上は売買があったものとして取り扱われ、賃借人がリース料として損金経理をした金額は、償却費として損金経理をした金額に含まれるものとされます。ただし、「償却費として損金経理をした金額に含まれるものとされる金額」は、確定申告書における明細書の記載から除外されています。
したがって、支払リース料の額が、毎月定額で、「リース期間定額法」により計算される償却限度額と同額となるような契約においては、賃借人が、会計上、賃貸借処理したとしても、税務上、特段の申告調整は不要となり、確定申告書における明細書の記載も不要になることから、実質的には、賃貸借取引としての取り扱いと異なるところはありません。

賃貸人の税務処理

賃貸人については、長期割賦販売と同様に、リース取引について延払基準の方法により経理した場合の取り扱いが規定されています。しかしながら、賃貸人が、リース会計基準で規定されている第1法、第2法及び第3法のいずれの会計処理を採用した場合でも、会計上の利益額である利息相当額と税務上の延払基準の方法により計算した課税所得に差異がないことから、第1法、第2法及び第3法のいずれによる会計処理の場合でも、税務上の延払基準の規定が適用されることとなります。

リース期間終了後のリース資産の取り扱い

所有権移転外ファイナンス・リース取引のリース期間終了後のリース資産について、税務上は、リース期間終了の時に賃貸人が賃借人から資産を取得したものとして取り扱い、当該資産の取得価額は、返還時の価額(時価)によることとしています。当該資産の時価の判定が困難で、会計上、見積残存価額で振り替えている場合には、当該見積残存価額を取得価額とすることができます。
リース期間終了後に再リースに移行した場合、時価または見積残存価額を取得価額として、見積使用可能期間または次に掲げる年数(1年未満の端数は切り捨て、年数が2年に満たない場合には2年とする。)を耐用年数として減価償却を行います。

  1. 基本リース期間が耐用年数以上であった場合は当該耐用年数の20%に相当する年数
  2. 基本リース期間が耐用年数に満たない場合は当該耐用年数からリース期間を控除した年数にリース期間の20%に相当する年数を加算した年数

セール・アンド・リースバック取引の税務処理

賃借人が、所有する資産を賃貸人に売却し、賃貸人からその資産のリースを受ける、いわゆるセール・アンド・リースバック取引については、資産の種類、売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、資産の売買はなかったものとし、かつ、資産の譲受人(賃貸人)から譲渡人(賃借人)に対する金銭の貸付けがあったものとして、譲受人及び譲渡人は、各事業年度の所得金額を計算します。

既契約の税務処理

2008年4月1日前に契約した所有権移転外リース取引について、賃借人及び賃貸人は、2008年4月1日以後も引き続き賃貸借処理を行います。