公団社団法人リース事業協会

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リース契約書の主な条項

ファイナンス・リース取引は、リース会社とユーザー(リース物件の使用者)とのリース契約、リース会社とリース物件の売主との売買契約からなります。二つの契約は別個の契約ですが、契約条項は密接に関係しています。(「リースのご案内・リース契約の特徴」参照)

公益社団法人リース事業協会では、参考として、リース会社とユーザーとの「リース契約書」、リース会社とリース物件の売主との売買契約書である「注文書・注文請書」、ユーザーがリース会社に発行する「物件借受証」を作成しています(2020年4月1日施行の改正民法を踏まえ2018年3月に改訂)。

  • リース契約書は契約書本文30条と契約条件を記載する別表で構成されています。
  • 注文書は、リース会社が、リース契約に基づいてリース物件の購入を売主に発注する文書で、リース会社が売主に注文書を発行し、サプライヤーがこれを受けて注文請書を作成しリース会社に発行します。注文書・注文請書には、リース物件の詳細(機種・仕様・数量など)、搬入期日、引渡場所等が記載されます。注文書及び注文請書の条項(売買条件)は同一で、注文書・注文請書は全13条で構成されています。
  • 物件借受証は、ユーザーがリース物件の品質等の検査を完了したうえで、その物件を借り受けることの意思を表示する文書で、リース会社が物件借受証を受け取ったときに、物件借受証記載の借受日をもってリース会社からユーザーへの物件の引渡しが完了し、リースが開始することになります。

リース契約書の主な条項(L第○条)の概要と、それに関連する注文書・注文請書の条項(S第○条)の概要は以下のとおりです。リース契約書の条項では当事者を甲・乙で表記していますが、ここではわかりやすく「ユーザー」「リース会社」と表記します。また、注文書・注文請書の条項も同様に当事者を買主・売主と表記していますが、ここでは買主を「リース会社」と表記します。

契約の目的・
中途解約の禁止
  • L第1条・L第2条
    リース会社はユーザーが指定する売主からユーザーが指定する物件を購入し、ユーザーにリースし、ユーザーがこれを借り受けます。リース契約は、契約に定める場合を除き解除できません。
  • S第 1条
    売主及びリース会社は、リース会社の購入目的が、物件をリース会社とユーザーとの間のリース契約の目的物とするために取得するものであること、売主、物件の品質等はユーザー指定によるものであることを確認します。
物件の搬入・引渡し
  • L第3条
    物件は売主から搬入されます。ユーザーは搬入された物件を検査し、物件の品質等が契約の内容に適合していることを確認して、借受日を記載した物件借受証をリース会社に発行します。リース会社が物件借受証を受け取ったときに、この借受日をもってリース会社からユーザーに物件が引渡されたものとします。
  • S第 3条
    売主は物件をユーザーが指定した引渡場所に搬入します。ユーザーが搬入された物件を検査し物件の品質等が契約の内容に適合していることを確認のうえ、リース契約に基づく物件借受証をリース会社に発行し、リース会社が物件借受証を受け取ったときに、物件借受証記載の借受日をもって、売主からリース会社に物件が引渡されたものとします。
リース開始日・期間
  • L第4条・L第5条・L第6条
    ユーザーは物件の引渡しを受けたとき(物件借受証記載の借受日)から物件を使用できます。リース期間は別表記載のとおりで物件借受証記載の借受日より起算します。ユーザーは別表記載の期日・方法によりリース料を支払います。
物件の所有権
  • L第 8条・L第 9条
    リース会社は、リース会社が物件の所有権を有する旨の標識を貼付します。ユーザーは、リース会社の所有権を侵害する行為をしません。
  • S第4条
    物件の所有権は、物件の引渡しと同時に、売主からリース会社に移転します。
物件の保守・修繕
  • L第 4条
    ユーザーは物件の保守、点検、整備を行い、物件が損傷したときはユーザーがその費用を負担し修繕を行います。
  • S第 7条
    売主は、ユーザーから要求があった場合は物件の保守・修繕を行います。
物件の保険
  • L第15条
    リース会社は物件に保険をつけ、物件に係る保険事故が発生し、ユーザーが第4条にしたがって物件を修繕したときは、保険金をユーザーに支払います。物件が滅失(修繕不能を含む)したときは、保険金を限度としてユーザーは第18条の損害賠償金の支払いを免れます。
物件の品質等の不適合
  • L第16条
    リース会社は物件の品質等に不適合があった場合の責任を負いません。ユーザーは売主に直接請求し、リース会社は、売主に対する買主としての請求権をユーザーに譲渡する手続をとるなど、ユーザーの売主に対する直接請求に協力します。ただし、ユーザーはリース料の支払いを免れることはできません。
  • S第6条
    物件の品質等についての担保責任は、売主がユーザーに対して直接その責任を負います。物件の品質等が契約の内容に適合していないことが判明した場合、リース会社が売主に対する買主としての請求権・地位をユーザーに譲渡しても、売主は異議を述べません。
物件の滅失・損傷
  • L第18条
    引渡しから返還までに物件が滅失・損傷等した場合、ユーザーは、その原因のいかんを問わず、リース料の支払いを拒んだり、リース会社に対して損害賠償等を請求することはできません。物件が滅失した場合、ユーザーはリース会社に損害賠償金を支払い、契約は終了します(L第15条参照)。
契約違反
  • L第20条
    ユーザーがリース料の支払いを怠ったとき、契約の条項に違反したとき、ユーザーに信用不安や倒産の事実等があったとき、リース会社は契約を解除し、ユーザーはリース会社に物件を返還するとともに規定損害金を支払います。(契約違反の条文は①期限の利益喪失型、②契約解除型、③折衷型の3方式があり、ここでは②を例示している。)
契約の更新(再リース)
  • L第22条
    リース期間の満了前に、ユーザーとリース会社は協議して、同一物件について新たなリース契約をすることができます。(再リースの契約は二つの考え方がある。一つは例示のように新たにリース契約を締結する考え方。もう一つは、あらかじめ再リース料を契約書の別表に記載し、その他はこの契約と同一条件で1年間再リースできるとするもの。)
物件の返還・清算
  • L第23条
    リース期間の満了または解除により契約が終了したとき、ユーザーは、ユーザーの責任と負担でリース期間中に生じた物件の損傷を原状回復したうえで、リース会社指定の場所に物件を返還します。物件の分離収去・原状回復の費用をリース会社が負担した場合、ユーザーはこれらの費用をリース会社に支払います。またリース会社は、契約締結時に施行されていない法令により生じた物件の廃棄等の費用の全部または一部の負担をユーザーに求めることができます。リース期間の途中で物件が返還され、ユーザーが第20条の支払いをしたときは、物件の処分価値と満了時の見積残存価値との差額を清算します(物件の処分等に要した費用を除く)。